中小企業にはアセアン進出が必要ー④
日本ブランドの暗黙の庇護があるうちに 日本は戦後の発展を通じて、また多額のODAを通じてアセアン各国の尊敬を得ることができました。 中国や韓国に比して、地理的な距離があることがかえって日本に対する憧れを増幅したこともあり、規律ある行動がとれる温厚な国民性から生まれた尊敬を壊すことなく、ながく彼らの思いを維持することができていたと考えています。 しかし、中国や韓国がアセアン各国に展開し、現地で事業拡大することで直接的な影響力をもつとともに、アセアン各国国民が国内外で学習し、多くの経験を経て成果をあげ、力をつけてくると、日本モデルを採用しなくてもうまくいくという自信をもつようになります。 現地に進出している日本企業が少なく、彼らの身近に中国や韓国、そして自分たちと比較するモデルが少ないことも問題です。結果、日本は徐々に彼らの記憶から遠のくことになります。彼らの成長に併せて、いずれは日本の優位性は徐々にフェイドアウトし、日本に対する思い入れが小さくなってくるのは自明の理です。 本来であれば、国家や大企業レベルではなく、国民レベルでアセアンをとらえ、彼らの成長のために、アセアンを身近な事業活動の場としていくことが必要であったと思います。 日本にはさまざまな市場を維持するための十分な人口があり、そのなかで大きな経済力をもつことができました。大手企業や関連する企業を除き、日本人がアセアン各国に大挙して出ていく理由を見つけづらかったということが、アセアンを身近な市場として捉えられなかった原因かもしれません。 もちろん、いままでは、アセアンは生産基地としての魅力があったとしても、消費基地としてアセアンが一定程度成長していなかった時代であり、アセアン各国に進出したとしても、なかなか成果があがらなかった可能性もあります。 各国の経済活動が活発になってきたのち、アセアン経済共同体が生まれ、国別の障壁がなくなってきた今が、まさにアセアン進出を考える適切な時期なのかもしれません。 何れにしても、まだアセアン各国の一部の人々に、日本が尊敬され親近感をもたれている間、これから数年が大きなチャンスです。日本ブランドが我々を守ってくれているこの時期に、アセアンへの展開を図ることが有利だと考えています。 自社の事業はどのような優位性をもつのかを確認したうえで、アセアンとは何か、どのようなチャンスがあるのかを、アセアン進出支援協会で学び、アセアンへの事業展開を、ともに図っていこうではありませんか。...
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