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タイムマネジメントの前提

働き方改革が行われるなか、タイムマネジメントがはやりです。時間をコントロールするための仕組みづくりや個人の能力向上により生産性をあげることで、同じ仕事を短い時間で、あるいは同じ時間でより付加価値の高い仕事を行うことを目指します。なので、タイムマネジメントを行うためには、組織で仕事のながれが明確になっている必要があります。仕組みができていないときに、うまく自分や組織をコントロールすることはとても難しく、結局は各人が都度工夫しバラバラに行動しなければならないからです。 前提として以下が有効です。 職務分掌がある 業務の棚卸しによる業務の範囲の決定がなされている 職務基準による一つ一つの課業の達成レベル決定されている 業務フローや手順が標準化されている 目標が明確 部下の能力の把握ができている 他部署との良好な関係がある タイムマネジメントを行うための手順は、簡単に言えば以下の通りです。 仕事の質と量の把握 リミットの認識と能力及び時間の推定 優先順位づけ 段取り(≒準備) PDCAサイクルの管理 飛び込み仕事の取扱い これらをしっかりと整理し、その内容を充実させることにより、タイムマネジメントの実質的成果を得ることができます。  さまざまな組織で、タイムマネジメントの実際の導入を行っていますが、短期的に成果をあげられる部分と、仕組みづくりに時間をかけなければならない部分があり、短期間に「想定される最大のメリット」を享受することは困難です。しかし、どこかでスタートしなければ永遠に成果を得られません。必要とされる仕組みづくりをスタートすることが大事です。 なお、プライベートでもタイムマネジメントは使えます。仕事の時は時間をうまく使えるけれど、プライベートではからきしダメという事はありえません。逆に普段から自分の時間を有効に使える人だからこそ組織の中でも同じことができる、といった方が自然ですよね。 短い人生を有効に使うためにも、公私を問わずタイムマネジメントの考え方に習熟することが有効です。 ...

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業務改善提案はクリエイティビティの原点だ

  多くの病院で業務改善提案制度の導入が盛んです。 方向を示し 方法を教育し 評価し 報償する ことで職員一人ひとりの創造性や工夫を喚起、提案を受けるものです。この4つが連続することで提案が継続されます(提案サイクル)。 医療機関では従来から、提案箱といったかたちでの提案を採用しているところがありますが、 何のために提案を行 なぜ自分が提案しなければならないのか、 どのように提案すればよいのか、 提案した後、しっかりとチェックをしてフィードバック(評価)をしてくれるのか、そして 結果に対し報償してくれるのか といったことからすると、提案箱方式は、まったく提案が活性化する条件を満たしていないことが判ります。 まず、提案させても評価もしない、反応なし、なしのつぶて、といったことが多くあるため、職員はやる気をなくし、何も提案しなくなることが通常です。 しかし、そのような病院で説明する提案制度を導入すると、驚くことにあっという間にたくさんの提案が集まります。彼らは考えることを停止しているのではなく、提案するのを止めているだけであるということがよく分かります。 しっかりと彼らの考えを吸い上げていく仕組みがなければ、彼らはいずれ考えることすら止めてしまうことになります。現場情報を吸い上げ、彼らの意見をすべてマネジメントに活かすのではないとしても、貴重な情報として収集して整理し、課題を発見しつつグルーピング化し、問題解決に活かしている病院は成果をあげています。 改善提案制度は組織の経営資源、すなわちヒト、情報、時間、モノ、カネといったアイテムを活性化するためのとてもシンプルで成果を得られるツールであることが理解されなければなりません。 現場のリーダーが職員のこうしたほうがよいという意見を吸い上げる仕組みや文化ができていない場合には、組織が制度をを導入し、しっかりと運営します。 改善提案制度は提案を通じて、標準化、簡素化、代替、移管、廃止、内製化・外注化等の実績をつくり、考えることや提案することが創造や工夫を表現する方法であり、それは必ず自分や病院、そしてひいては患者に貢献することだということを知らしめていく必要があります。 なお、提案は1ヶ月1回の提出を義務として実施し、職員は日頃から改善への意識を高めていなければなりません。組織の働きかけにより、常に見る、常に疑問に思う、そして標準化や簡素化、代替、移管、内製化・外注化、廃止といった方法により、もっとうまく、もっとはやく、もっと安く(合理的に)というながれが職員の意識のなかにできあがります。 例えば不平不満、個人的な誹謗や中傷、そして実現不可能な願望や要望といったことは提案禁止というルールとするなど、あるべき改善提案制度の導入については、さらに重要ないくつかのノウハウが必要です。現状をどのようにみるのか、どのような着眼でどのように提案するのかをも教育したうえで成果を挙げていきます。 多様な観点からの提案があり、病院運営にとても貢献することが分ります。 なお、一定の評価基準に基づき内容の良し悪しを評価しポイントを付与して報償の基礎とします。年間を通じて優秀提供した個人やチームに表彰をする病院もあります。ただ、真面目に情報提供したり、そして実際に地道な改善を行った者に対しても何らかのかたちで(金銭、非金銭での)報償を行うことを忘れてはなりません。 病院では、病院機能評価への対応、職能等級制度導入、施設基準の取得、病電子カルテ導入や床転換、業態転換、介護事業参入、病院建て替え等々経営改革やイベントが行われることがよくあります。 しかしこれらは大抵は一部のメンバーで実行されてしまいます。一方改善提案は職員であればだれでも参加し何かを変えることができる制度です。新人からベテランまで、また職種に係わらず全員参加による改革を推進するために、業務改善提案制度を活用する病院が増加しています。 誰でも参加できる、また参加しなければならない制度としてとても有効なものであると思います。 この方法により組織活性化を図ることが人を育て組織を盤石なものとし、益々混迷する時代において、成長を促す仕組みのひとつになると考えています。 マニュアル作成及び運営により現状を可視化したのち、多くの組織で何かを創り出す改善提案制度が採用されることを期待しています。 ...

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健康で豊かな生活を送るために

私たちの生活には医療を欠かすことはできません。コロナ渦になり医療がより身近に感じられるようになったのはこの数年ですが、メタボリックシンドロームがきっかけになり、国民が健康に目を向けるようになったと考えています。 内臓脂肪が過剰に蓄積され、血圧上昇、空腹時の高血糖、脂質の異常値がみられる状態をメタボリックシンドロームといいます。メタボリックシンドロームは広義でいえば病気であり脳梗塞、心筋梗塞となる動脈硬化のリスクを高めます。世界中で過栄養と運動不足を背景にした動脈硬化疾患が急増してきたことを基礎として、2002年に世界保健機構(WHO)が動脈硬化を起因とする心臓血管系の病気の予防を重視すべきと宣言し、2004年に日本でも栄養過多を原因として増加した心臓血管系疾患を予防するためいくつかの学会が合同で診断基準を作成しました。 多くの国民がメタボを意識し、健診や食事や運動への興味を持ち行動を開始した歴史です。このイベントを経て健康や医療に対する関心が生まれ、健康であることに対するムーブメントが起こりました。しかし、医療にはまだまだ健康をサポートする、より多くの潜在能力があります。 先日お会いした大学病院の著名な医師は「病気にならないときの医者は役に立たない。自分で健康管理をしている。毎朝(拡張期血圧)90を切れと念じながら血圧を測り記録する。また、鏡を見て顔がむくんでいるか、全身をみて、飲みすぎたかな、運動できてないかなとか考えながら、むくんでいるかを確認する」と話され、「血栓をつくらない、血流がよくなるように痛むところやむくんでいるところをマッサージする。届かないところは誰かにやってもらえばいい」「歩くだけでも随分と違うよ」と教えていただきました。何気ない会話ですがとても重要な話です。自らの日々にセンシティブに向かい合い自分で健康管理をすることがいかに大切なのかを理解できました。話していただいたのは専門的な医療の知識や知恵がある彼の、多分ほんの一つの行動についてだけだと思いますが、医療が生活のなかに浸透することの必要性を感じた一瞬でした。 心臓血管系疾患だけではなく、多くの病気に対峙するために人は医療と生活の距離をもっと縮めることが有益です。医療=健康にいい食事や食事の取り方、医療=健康にいい衣料、医療=健康にいい住宅、医療=健康にいい運動、医療=健康にいい余暇の探し方、医療=健康にいい教育、医療=健康に関する金融など、医療と事業の間にはまだまだ隔たりがあります。 但し医療が前面に出ると堅苦しく、ストイックな生活を強いられるという意識が行動を躊躇させらかもしれません。そうではなくて自然に人が健康で豊かな生活を送るために、生活のなかに医療の思いや知識や知恵が無意識に沁み込み、知らず知らずの間に心身ともに「健康で豊かな生活」を送れるようになることが理想です。ここで「豊かな」とは経済的な意味だけではないことは明らかであり、その人らしく豊かな気持ちをもって、ということに視点があります。 事業の側から医療に近づき、健康で豊かな生活を支援する食品の提案、食事の提案を行うことには萌芽が見えますが、まだまだやれることはあります。衣料はどうか、住宅はどうか、運動はどうか、余暇はどうか、金融はどうかというと医療の視点からのアプローチはまだまだ一部の領域に留まっているのではないかという思いがあります。 スーパーや商業施設、レストラン、メーカー、アパレル、スポーツ店、ハウジングメーカー、興行会社、旅行会社、教育機関、銀行などが、人々がより健康で豊かな生活を送れるようマーチャンダイジング(販売政策)やマーケティングを行えれば、国民の効用はより一層高まります。そもそも心身ともに健康であれば、人はどのようにでも行動できます。また、家族が健康であれば経済活動も疎外されることはありません。もちろん疾患のある人々には医療そのものによる最善のケアや治療は必要だし、介護による包括的な支援もいままで以上に充実させなければなりません。きめの細かい政治や政策による支援や未来に夢のもてる国造りも求められます。 患者や利用者が安心してそれぞれの思いや希望に合ったケアを受け安定的な社会生活を受けられる環境づくりを前提としたうえで、医療をより生活に浸透させ、大きな意味での疾病予防や健康でいられるメリットを享受できるよう働きかけていくことが、厳しい環境のなか少子高齢化の進む日本にとり有益なビジネスモデルになると考えているのです。 自分は健康だ、と思っても不健康な人や隠れた疾患をもつ人は数多くいます。調子が悪くなってから慌てることや健康診断や人間ドックに免罪符を与えることもナンセンスです。日々の何気ない健康管理がとても大切です。 地域住民の健康で豊かな生活を守るために、診診連携や診療所のユニット化(複数の診療所で一人の患者を診る体制)によるプライマリケア(初期医療=身近にあって何でも相談にのってくれる総合的な医療)の提供機会を充実させるとともに、医療と事業との融合により医療の潜在能力をもっと生活に活かす工夫や取り組みが多角度的に実現されることを心から期待しています。 medi-biz | 日々の生活にもっと医療の活用を  ...

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勝ち残るクリニック経営7つの戦略セミナー行いました

環境変化と戦略について  1.リーダーの行動 (1)役割を明確にする (2)リーダーとしての仕事、責任、信頼 2. 財務の知識習得 (1)指標による管理 (2)F/Sの理解 3. 診療所のガバナンス体系構築 組織マネジメントスキルの習得 非凡なものづくり 業務標準化 7. 人のパフォーマンスを上げる ...

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クリニック向けのセミナーを多数行っています

                                                              さまざまな主催者によるクリニック向けのセミナーを幾つも行っています。テーマはさまざまですが、多くの方々に参加いただいています。例えばスタッフマネジメントについてです。クリニックの業務と知識を体系化しマニュアルを媒体として業務を日々進化させることで、マニュアルをベースに活動するスタッフの質も向上し、結果高い成果を挙げられる組織になります。今回のウェビナーを通じ、スタッフマネジメントをしっかり行いクリニックを益々発展させていきましょう。  ...

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病院における管理会計

厳しい時代迎えを、DPC病院であれ、ケアミックス病院であれ、療養病床をもつ病院であれ、どのような業態の病院でも管理会計が必要となりました。管理会計により、活動を計画し、また実績を迅速に把握する。そしてそれらをつぶさに分析するとともに的確に行動することが、時代を乗り越えるためのポイントだからです。 なお、管理会計は企業活動を管理する会計をいい、報告のための財務会計と区別される会計です。管理会計には、月次で行われる予算実績管理や、指標管理、そして病院原価計算等があります。 病院原価計算には、部署別活動の巧拙を判断するための部門別損益計算や経営戦略、あるいは診療政策を管理するための患者別疾病別原価計算、そして機器を購入するかどうかを判断するときの特殊原価調査といったものが含まれます。さまざまな先行指標と実績指標の比較を考慮したうえで、毎月の各部門の損益をみて、どこに経営上の課題があるのかを発見し手を打ちます。 間接部門のコストにイレギュラーはなかったか、コメディカルへのオーダーは十分であったのか、また合理的に運営されたのか。さらに外来、病棟といった直接部門には、新たな課題が発生していないかといったことが調査されます。予想された患者が来院したのか、また外来からの入院比率は、入院患者のうち手術対象患者はどうであったのかといった指標を管理しつつ、部門別損益を確認するなかで、増患や単価、紹介率、稼働率、在院日数、コスト等の課題が発見されます。 DPC病院においては、さらにDPC固有のマネジメントができているのか、ロスがないのかといったことへの検証が行われますし、また、患者別疾病別原価計算を考慮することにより、自院の得意な治療をどれだけ利益のでる治療に代えていけるのかと言ったことへの注意が払われるようになります。自院の治療のポートフォリオをどのようにつくっていくのかを検討する資料ともしていきます。 なお、特殊原価調査とは、医療機器を購入するか、リースするか、レンタルするかを決定するための経営意思決定のための原価計算です。医療機器を購入する前に、病院の患者構造や医師のスキル、地域における他病院の運営状況を勘案したうえで、自院に適した医療機器への対応を決定することを目的としています。 これらについても、大型機器のみならず中小型機器についても同様の処理を行う必要があります。その場合、MEがすべての一定程度の重要性をもつ医療機器における利用頻度、故障、修理、医療事故についての個別履歴を管理しておく必要があります。 何れにしても管理会計を導入しなければ、暗闇のなかで手元の少しの明かりを目当てに仕事をしなければなりません。とりわけ部門別損益計算や患者別疾病別原価計算の考え方を知る。そして現在導入しているものをどのようにうまく使えばあるべきかたちになるのかについて十分に考慮する。あるいは、新規にどのように導入していくのかを考えることが病院管理者の役割であることをよく理解しなければなりません。 患者別疾病別原価計算の整備には、それなりに時間を必要としますが、まずは部門別損益計算を行う体制をつくりあげることができれば、管理会計導入の本格的なスタートを切ることができます。部門別損益計算において、翌月15日に月次決算が終了する会計体制を同時に確立することで、病院経営幹部は、各部門の運営状況をつぶさに把握し、合理的な運営を行うきっかけをつくりあげることができるようになります。 部門別損益計算の導入運用手順は、 内部統制及び会計制度の現状調査 会計処理修正 指標管理体制整備 部門別損益計算導入 分析手法の提供 月次管理者会議の合理的運営 業務改革への情報提供 目標利益確保 といったながれで行います。 どのような業態であっても、病院であれば少なくとも部門別損益計算の導入は必要です。業務の可視化の精度が上がれば仔細な行動を行えるようになることは明らかです。管理会計の導入により肌理の細かいマネジメントができることを理解し、積極的な取組みを行っていくことが有効です。 medi-biz | 日々の生活にもっと医療の活用を  ...

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診療所繁栄10のポイント

外来診療を生業とする一般診療所が毎年、微増しています。傾向は、有床診療所(ベッド19床以下の診療所)の廃止を超えて、無床の診療所の新規開業が多くあったことを意味しています。医療の必要な高齢者がこれから増加していくとしても、彼らは在宅での医療を受ける機会も多くなり、皆高齢者が通院するものでもありません。なので、開業が盛んになれば既存の診療所と間での競争が激しくなることは必至です。 さらに、今回のようなコロナ騒動があればなおさらですが、コロナ中、来院を控える傾向があるのは言うまでもなく、コロナ後も日本経済回復の遅れから、家族の所得が減少したり予想される医療費の自己負担が増加することで、受療回数(患者が来院する回数=日本は医療機関にかかる回数が世界一です)低減も予想されます。このような環境下において診療所が繁栄し続けるためには、受診者の年齢層を広げるとともに、比較優位性をもつ活動をしなければなりません。 以下のポイントに留意して診療所運営を行う必要があります。 ビジョンをしっかり定めたうえで、戦略を明確にし、事業計画と年間目標を明確にして目標から現在の行動を決定する HPやパンフ、チラシ等の媒体や営業活動によりプロモーションを行い、自院を地域により浸透させる 朝早くか、夜遅くまでの診療を行うなど、他の診療所の診察していない時間に診療する。また土日や祭日にも診療日を設定する 連携を強化することや、新しい治療や診療科を設置することで新患への訴求力を高める 地域住民のため診療所固有の健康倶楽部を組成し、会報を発行。役立つ情報開示で地域住民の健康管理とともに来院促進を行う 日常的に診療所において休日や昼間の時間を利用して、セミナーを開催し病気の不安をできるだけなくす マニュアルやチェックシートにより仕事の手順やノウハウの整理をしっかり行う 職員の力を引き出すために一定の基準職務基準等による職員の公平公正な評価と継続的な職員の教育を行いリピート率を引き上げる  訪問看護ステーションやケアマネと組んで、外来だけではなく、やはり在宅にも興味をもつ 経費を無駄にせず計画的な資産形成を行うなど現金を増やすことで次に備える ということがそれらです。 これらをひとつひとつ積み重ねることで必ず診療所は活性化し、ながく地域で繁栄する診療活動を行うことができるようになります。 マーケティングの5P、すなわち場所、価格、製品、販促、非凡なものについて検討し、他の診療所に負けないもの、地域住民から信用、信頼、安心される診療所をつくりあげていくことが繁栄の要諦(ポイント)ということになります。新型コロナ、少子高齢化、米中関係悪化、ブクレジットを含めた欧州問題、世界的景気低迷など心配事は絶えませんが、上記をアレンジし、何かを変えることに、我々も果敢に挑戦していきたいと考えています。 medi-biz | 日々の生活にもっと医療の活用を ...

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